南獄4.1

憧れの米国駐在第2章

大きいつづら

娘が張り合いを持って習い事を頑張れるよう、練習が終わる度に家内がノートにシールを貼ってあげている。これがたまると、ご褒美として何かおもちゃを買ってあげることにしている。
そして、シールが一定量を超えたので、こちらのデパートにおもちゃを一緒に買いに行く事に。娘にはすでにお目当てのものがあるらしく、まっすぐその売り場に。基本セットの値段を見るとこれが結構高い。
そこで基本セットではなく、その隣にあったお試しセット的なやつが半額程度だったのでこちらで勘弁してくれと提案。が、娘は当然拒否。やむを得ず子ども相手に以下の詭弁を弄する。
「昨日舌切り雀の絵本を読んだでしょ。大きいつづらと小さいつづら、どっちに宝物がはいってたっけ。大きなつづらからはお化けが出てきたよねぇ」
これで一度は納得しかけたものの、どうも自分はだまされている、という表情でしばらく沈黙。どうやら幼い頭脳をフル回転させて、本当にお父さんの言う事が正しいのか考えているらしい。その結果、ここはすずめのお宿ではなく、おもちゃやであることは間違いない。それ故、大小に関わらず中に入っているのはおもちゃである!と結論付け、私に抗議。
その結論に至るまでの表情等のプロセスが、見ててとても面白く、こちらが降参。ちゃんと自分で理屈を考えてその結論を私に主張してきたご褒美に、大きい基本セットを買ってあげる事にした。
でも最後の最後に、『大きいつづらで大丈夫かなー』と一抹の不安を吐露して、それもかわいいと思った。甘いかなー。